10年以上前からお付き合いのあるYさん。
人生の底辺を味わってきた。 身分証も無い、保険証も無い、住民票も無い。
自分を証明する物が無いとしたら、皆さんはどうやって生きていきますか?
仕事を見つけるのは簡単ではありません。体が丈夫でも雇ってくれません。給料は通帳振り込み。その通帳すら持っていない。会社の経営者ならそんな方を雇えますか?
誤解の無いようにお伝えします。
Yさんは日本人です。外国籍ではなく生粋の日本人。
そんな彼の人生が変わり始めたのが1年くらい前。
何度も何度もしつこく説得して、弁護士と面談。
面談予約するのも一人ではできない。漠然とした恐怖が邪魔して面談にも前向きになれない。でもそこが彼の大きなターニングポイントになるだろうと思い 半分無理やりスケジュール調整した結果、暑い夏の午前に予約を取ることができました。
弁護士との面談は30分。
挨拶も短めに済ませ、いきなり本題に入る。
彼の抱える問題の核心に迫りながらも、自尊心を傷つけることなく問題解決の糸口を見つける。
そして一気に解決策へと導く。
弁護士事務所から出たときには、30分前の表情とは全く変わっていた。
顔には健康的な赤みがある。きっと興奮しているせいだろう。
彼も「急に人生に希望を感じられるようになった」と口にする。
それから私と彼は、今後用意する書類の打ち合わせをしてその場を後にした。
それから9か月以上が経っただろうか、時間はかかったものの彼の身分は段々と整ってきた。
住民票が手に入り、保険証が手に入った。銀行通帳も作れる。
もしかしたら車の免許だって取れる!
彼は言ってました。
「10年以上、まともに病院に行ってない。体がボロボロの時もあった。風邪をひいたって診察も受けられない。自費で診察を受けられるほど金はない。歯がボロボロだよ。今ではまともな歯が5本。
田村さん、今は保険証がある!だから最初に歯を綺麗にしたい!自費なら数十万円かかるけど保険証があるから2.3万円で入歯にできるんです!」
嬉しそうに笑った。
今ではちゃんとした仕事をしている。正社員だ。給料は決して高くないらしい。
でも自分の立場を偽ることなく、本名で仕事ができる。
「田村さん、慣れない仕事で毎日体はしんどい。でも帰宅すると達成感が満ち溢れて幸せです!ちゃんとした仕事に就いたんです。自分の力で正社員になったんです!」
彼の人生は色々あり過ぎた。私よりも年上のYさん。
でも私は彼に厳しく接する事も多々ある。それでもちゃんと食らいついてくる。
その結果が今の彼なんでしょう。
もっと、もっと早くに 今のような状態になれたと思う。でも彼の勇気が出るにはやっぱり時間が必要だった。
「これからは貯金しよう!」
私は彼にそう言いました。
「まずは3か月分の生活費。次は6か月分の生活費」
今までお金に関してはカツカツの人生だったから、これからはお金に余裕のある人生になろうね!
長いお付き合いのYさん。
これから彼はもっともっと変れる!
人生の辛酸を舐めた彼だから、幸せの意味もきっと人一倍分かると思います。