芥川龍之介の作品でも非常に品期のある有名な短編がこちら『鼻』
かの夏目漱石が大絶賛した作品として有名です。
短い作品だし、難解な言葉もほとんど出ない、登場人物も少ないため
とても読みやすい作品です。
この作品で伝えたいのは“傍観者の利己主義”と言われます。
自分ではない誰かの不幸を見て喜ぶ気持ち。そしてその不幸が解消された時に沸き起こる
不満や物足りなさ。
こういう気持ちって人は必ず持っているもんですよね。
『人の不幸は蜜の味』だから、自分ではない誰かの不幸を見聞きしているとうちは良いけど
いざ その不幸が解決されて幸せな姿になった時には心から喜べない。
『そのまま不幸でいてくれれば良かったのに・・・』という傍観者の残虐さですよね。
傍観者自体は決して、誰かを不幸に陥れているわけではないけど
結果的には不幸の共犯者になっている。
直接ではないけど間接的な共犯者。
そして何よりも問題なのは
傍観者本人がそうした感情を持っていることに気付いていない点ではないかと思います。
“鼻”はこのテーマについて
上品でユーモラスな作風に仕上げたのがとても良かったのでしょうね(^<^)
面白い!